2017.5.10 日記
流儀
何事にでも作法や流儀がある。
俺は今回の出張で初体験をした。
それは何か。
これである。
立ち食いそばだ。(写真はイメージ)
別に坊ちゃんだった訳ではない。ただ機会に恵まれなかった、いや勇気が無かっただけだ。
思い切って暖簾をくぐった。
『いらっしゃいませ、何しましょう。』
俺はおもむろに食券を差し出した。
ざるそば。
わかっている。違うだろう?、と。
わかっているが仕方がない。
俺は猫舌なのだ。
熱いものが苦手なのだ。
新幹線は定刻に出ちまうのだ。
冷たいモノならお得意様。一気に平らげ、勝ち誇った気分でいたが、周りを見渡すとそれはすぐに間違いだと気付いた。
周りのオッさん達は左ヒジをカウンターにつき、背中を丸め、抱え込むように熱い蕎麦を啜っているのだ。
『こ、これが立ち食いそばの食い方か。』
彼らは丼に顔を近づけ、語りかけるように熱い蕎麦と真剣勝負をしているのだ。
一方で熱さ勝負を避け、自分の得意分野での圧勝に酔いしれている俺。
少し気恥ずかしくなり、急いで立ち食いそば屋を後にした。
そして駅カフェでコーヒーを飲みながら、俺はこのブログを書いている。
ハードボイルドへの道は、まだまだ険しいように思えるが、なんて事はない。
オッさんが立ち食いそば食べただけの話。